三菱QシリーズPLCで液体の流量をPID制御する

以前三菱FXシリーズPLCを使用したヒーターのPID制御の方法を紹介しましたが、今回は三菱QシリーズPLCを使用して、液体の流量をPID制御する方法を紹介します。PLCはQ03UDECPU、現在流量の取込はQ68ADI、ポンプの周波数を可変するために三菱FRシリーズのインバータを使用しました。
目次
制御対象の現在流量をPLCに取り込む
流量制御を行うため、現在流量をPLCに取り込む必要があります。今回はキーエンス製の流量センサーの4-20mA出力をQ68ADIに接続し、現在流量を入力しました。
PID制御で使用するデバイスの先頭番号を設定する
[PIDINIT]命令を使用してPID制御で使用するデバイスの先頭番号を指定します。
PID制御で使用するパラメータを設定する
[PIDPRMW]命令を使用してPID制御で使用する各パラメータを設定します。
・P値(比例制御)
・役割:現在の誤差に比例した制御量を出力する。
・特徴:誤差が大きいほど強く補正するが、残留誤差(オフセット誤差)が発生する。
・I値(積分制御)
・役割:過去の誤差を積算し、時間とともに修正する。
・特徴:残留誤差を解消できるが、過剰補正による振動(積分暴走)が起こることがある。
・D値(微分制御)
・役割:誤差の変化速度に応じて制御し、素早く応答&振動を抑制する。
・特徴:ノイズに敏感で、不完全微分(ローパスフィルタ付き)がよく使われる。
PID専用命令を使用して流量の制御をする
[PIDCONT]命令を使用し現在の流量を基に出力操作量(周波数)を算出し、インバータの周波数を可変し流量の制御を行います。
まとめ
以前同等装置で流量制御を行った際は、設定流量≦現在流量の場合ポンプの周波数を徐々に下げ、設定流量≧現在流量の場合ポンプの周波数を徐々に下げていく典型的なP制御でしたが、今回流量をなるべく一定に保ちたいとのことでPID制御にて流量を一定に保つ様制御を行いました。流量を一定に保つためのパラメータの調整に時間がかかりますが、丁度よい設定が見つかれば流量が安定して保たれるため高い実用性があります。